でも、そんな素振りは一切見せなかった。
「え!?ウソ!マジで!?」
誰よりも早く、反応して見せた。
同学年の千絵(チエ)と瑠実(ルミ)も驚いていて。
「いや、でもあたし、ちょっと分かる気がするなあ…」
そう言ったのは千絵だ。
確かに、前から言っていた。
新島先輩が部活の中で1番カッコイイ、と。
「マジか、新島先輩か!
頑張って!私、応援するよ!」
瑠実はそう言って頷いている。
新島先輩にそんなに興味ないんだよね、この子は。
「みんなで応援するからね!
頑張って!海ちゃん!」
笑いながらそう言って。
「はい!頑張ります!」
そんな海ちゃんの返事を真っ直ぐに、受け止められなかった。
気づくと、顔が下を向いてて。
なんだろう。
なんなんだろう。
何、やってんだろ…
これが『好き』という気持ちから逃げてた代償なのだろうか。
それとも神様がいい加減認めなさい、と言っているのだろうか。
でも、違うんだよ。
好きじゃない。
…ただ、憧れてるだけだから。
顔が下を向いてしまったのは寝転がってて首が痛かったから。
雷が落ちた気がしたのは、気のせい。
別に、傷ついてなんてない。
ショックなんかじゃない。
だって、私は新島先輩のこと、好きじゃないんだもん。


