「じゃあ…俺、帰るから。 気をつけて帰れよ。 最近、暗くなるの早いしな」 そういう優しいところが、 何よりも好き。 「…健太くん」 思わず、呼びとめていた。 でも、今ここで聞かないときっと私は一生前に進めないと思うんだ。 「…どうして突然、別れようなんて言ったの?」 自分でも驚くほど、世間話をするみたいに言葉が出た。 「俺…好きだよ、詩織のこと」 胸の奥深くで地響きがした気がした。