サヨナラのカタチ






「ねえ…優くん?」


「ん?」


顔を上げるとテーブルの上にラッピングされた箱が置いてある。



「これ、いらないかもしれないけど…受け取ってくれる?」


箱を手にして開けていいかと目で尋ねると

麻衣は頷く。



リボンを外して、包装紙を丁寧にはがしていく。


黒い箱が姿を現し、それを開けると腕時計が入っていた。



「ありきたりなんだけどね」


恥ずかしそうに目を伏せる麻衣。


「これからも一緒に時を刻んでいきたいな…


なんて思ったりしてね」


僕は速くなる鼓動をどうすることもできなかった。



「…どうしたの?

時計…いらなかった?」


違う。

違う。

違うんだ。


…そういうことじゃ、ない。



「ごめん。


受け取れない。」