飛べ、俺。

ともかく彼女のいる教室に行かないことには話にならない。


「……行ってくるわ。」


「おう。がんばれよ!」


「言われなくても。」


部室を出て二階にある教室に向かった。


ドアを開ける前に教室を覗くと、彼女が数学の問題を前に首をひねっていた。


きっと明日の宿題だ。


俺と違って彼女は真面目だから。


俺が初めて彼女を意識したのは、彼女が真剣に宿題を解いていたときだった。


俺や俺の周りの奴らにはない一面に惹かれたんだよな。


やべ…
さっきよりかなり緊張が高まったし…。


ふぅ。

気合い入れろ、俺っ!!



「あ、成田くん。」


彼女がドアの隙間から顔を覗かせた。

いつの間にここまで移動したんだ?


「ほんとに来てくれたんだ?」