飛べ、俺。


「友達と話してるときはいっぱいしゃべってるのに、私と話するときは全然だし…、」


だって緊張して声がうまく出ねーんだもん…


「名前だって、一回も呼んでくれたこと無いも〜ん…」


だって、名前呼んで嫌な顔されたら俺立ち直れねーから…


「きっと私の名前なんか覚えて無いんだろうなーって…






「加藤さん。

加藤ゆきちゃん、でしょ?


ちゃんと知ってるよ。」


何十回も、何百回も、こころの中で呼んだ名前。


知らないはず無いでしょ?



「知ってたのに、なんで呼んでくれなかったの?」


「………内緒。」


名前呼ぶのが恥ずかしかったなんて、小学生みたいなこと言えるかっつーの!


「なにそれ〜…。

私ずっと嫌われてるって思ってた。


だから今日放課後ここに呼ばれて、少し………



じゃなくて、すっごく期待してたの。


もしかしたら成田くんに嫌われて無いかもって…。


へへ、

自意識過剰すぎて恥ずかしいよね。」