「それ以上はもう何も言えないわ。今、話したことだけでも知られたら、ラムルダに殺されかねないんだから」

「つまり、実際の弱点を限定させないというわけか」

 またしてもぎょっとするほど鋭い。

魔法使いたちがアクセサリー全般を身につけないのも、そういうことだ。身につけている物から消去法で弱点を抽出される可能性はある。それなら、最初からヒントを与えなければいい。

 けれど、ロランツはまた別のことを考えたようだった。

「話してくれて嬉しいよ。だが、もったいないな」

「何が?」

「君の瞳と同じ色の翠のエメラルド、きっと似合うと思ったんだが」

 たしかにロランツがくれた物のなかに、そんなものがあった。

 とても綺麗だったし、けっこう気に入ったのだけれど、身につけられるわけでもないから、しかたなくしまいこんだ。たしかにもったいない話ではある。