「ね、なにか魔法を見せてよ。魔法使えるんでしょ」

「シャリア、魔法は見世物じゃない。それに彼女にここで魔法を使われると、城が壊れる」

 困惑しまくっているメディアに代わっての、ロランツの答えは身も蓋もなかった。
 しかし、妹はさらにその上を行く。

「いいんじゃない。私は城が壊れたって、困らないもの」

「君が困らなくても、僕が困る」

「お父様は、喜ぶと思う」

 たしかにあの王なら喜びかねないが、メディアにとって今はそれどころじゃない。
 このくっついたまま離れない、お姫様を何とかしたい。

(どうして、こう兄妹そろって、抱きつきたがるのよっ!)

「いい加減に……」

 抗議の声をあげかけると、ふいに体が解放される。ロランツが妹の襟首をつかんで、メディアから引き離したのだった。