「お兄様って、こういう趣味だったのねえ」

 しみじみと言われてしまう。
 こういう趣味って、いったい、どういう趣味よ! とばかりメディアが食ってかかろうとした寸前、ロランツがしごく冷静な口調で妹をたしなめた。

「シャリア、失礼だろう」

 ついで、妹を紹介する。

「妹のシャリアだ。草原育ちのせいで礼儀をわきまえていないが、悪気はない、と思う」

 兄の紹介に、妹はすぐさま異議を唱えた。

「なに、その、ないと思うっていうのは! いったい、どうやったら、こんな可愛い子に悪気を持てるのよ」

(可愛い子、って?)

 何だか、自分にたいして言われたとは思えない形容に、メディアはただ呆然とする。

「よろしく、お姉様」

 近づいてきたシャリアは、何のためらいもなくメディアに抱きついてきた。
 あげく、頬に音を立ててキスしてしまう。

「な、なにを」

 驚き慌てるメディアに、抱きついたまま彼女は、にっこりと笑いかける。
 こういう行動パターンは、その兄によく似ていた。