魔女の報酬3~封呪の守り人~

「そういうことらしいな」

「らしいって? なに、そのあやふやな言い方は?」

「母上が、草原に帰ってから、十五年にはなる。それから、あまり会う機会はなかった。父上は時々公務を放り出して、会いに行っていたようだけど」

 ロランツ王子の実の母、ウィルランドの王妃は、十五年前、草原の王族としての責を果たすために、まだ生まれて間もない娘を連れて、王宮を去ったのだった。そのとき、彼はまだ十にもならなかったはずだ。

「ロランツは寂しくなかったの? そんな小さな時に別れ別れになって」

「いいや、たとえ遠く離れても心はいつも側にいる、そう母に言い聞かされたからね」

「ふうん」

「今思うと、うまく言いくるめられた気がするが」

 苦笑混じりにロランツは語るが、きっと心の通いあった親子だったのだろう、とメディアは想像する。

 自分たち親子とは雲泥の差だ。
 母さんは、いつも身勝手で。
 あれはいつだったろう。今はもうよくは覚えていないけれど、「お前なんか生まなきゃよかった」って言われたのは。

 子どもにとって、それは己の存在を否定されるのに等しくて。
 他人だと、割り切れれば楽なのに、それもできなくて。
 大嫌いな癖に、構って欲しかった。