「中々衝撃的な1日だったわね…」

帰りのバスの中で、響加は言う。

「…うん」

「まさかな展開だわね」

「うん」

「火野上君が話すと嘘っぽかったけど……そうなると、全部、本当の話しって事よね…………」

「………」

小声で話す響加だ。

私は、いっぱいいっぱいで、頷くだけ…

そう…

そうなのだ。

彼等の話しを信じ込んでいる私だけど…

う―ん…

信じ込んでいる私、だけど…

そうなると…

今回の事件…

今回の、窓ガラス騒々の…

発砲疑惑までも…

火野上が見たと言う銃口も、嘘じゃない事になっちゃうんだよ。


「何で…警察行かないのかが不思議でならないわ」


楠木の家で、そう言い返した響加に。

「………そのうち解る」

そう、火野上は答えたんだ。

「そのうち解るって、そんな適当な解答しかしてくれない人に、岬っちゃんの身体は貸せないわね…」

嬉しい発言をしてくれる超美貌の友人だわ。

感動したよ響加!

あの時のその発言は…

でもね…

帰り際に火野上が耳打ちした言葉がきになって、私、上の空なんだ。


火野上は、あの長身を小さくさせ、私の耳の前で、こう囁いたんだ。




「囮とは、つまり、彼女になってもらうと言う事だぜ」

見上げた彼は、満面な笑顔だった。

結局、私たちは、返答をせずに、家を出た。


外は、もう真っ暗だった。

ごめんね…

響加…

私……

私、彼女って言葉に、

………負ける気満々なんです―――――――!!!