子供の身体が、数本の足に挟まれ、高々と持ち上がる。

ゆっくりと、・・・だけど大きく大きく、口が開かれる。

ムカデの口の中って、真っ暗で、だけど、牙が生えていて、大きく、大きい。

この、子供ぐらいなら、ひと呑みにされちゃう。

動かない身体を必死で動かして、足元の砂を掴み、ひたすら・・・ひたすら巨大ムカデに向かって投げ続ける。



ムカデが、ギロっと、こっちを睨んだ。


怖い!!

でも、このままだと、子供も、私も、どちらにしても、殺されてしまう・・・

ひたすら、砂を投げ続けた。


「逃げて!!! 逃げて!!!」


喉が枯れるまで叫んで、叫び続けている。

その時、ふと、何故か。響加の言葉が頭を過ぎった。

「ゾウ?? 鷹!? 鷹よ鷹!!」

鷹を出せば…


ムカデは、こっちを見たまま、ずるずると向かってくる。


早く・・・

鷹でもゾウでも、勝てるものを・・・

あまりの怖さに、私は、ぎゅっと目を閉じた。



鷹でもゾウでも、勝てるものを・・・

そう、祈る。

どう、願う。

勝てるものを・・・

勝てるものを・・・ ・・・



何だか、身体に力が入らなくて、砂を掴んで、私は埋もれるように、その場に崩れ去った。





何かが、私の足を掴んだ。


「ぎゃー~~
~~ゃぁあっーーーーーーー」

砂を掴んだそのままの手で、私は殴りかかった。


「痛ぇっ痛ぇっ…」

ドキっ☆☆☆