――そして、次の日




自分で決めた事だけど正直、僕は香織に会うのが少し怖かった。

だけど逃げるわけには行かない。
君の為に僕は変わると決めたのだから…。


「おはよう香織」

いつもと同じように声をかけて僕に振り返った香織はそのまま固まった。
綺麗な茶色の瞳を大きく見開いて、信じられないというように僕を見つめる。

「香織?」

「れ…ん君…どう…して?」

「ん?イメチェンかな。似合う?」

眼鏡を外してコンタクトにして、いつもはボサボサのままにしている髪を手入れすると、僕だって一応それなりにみれる男になることくらいは知っている。
今まであえてそれをしなかったのは、自分らしくあるためだった。
外見や家庭環境など関係なく本来の『浅井廉』を受け入れてくれる人間関係を僕は求めていた。
そして僕を受け入れてくれたのは香織だけだった。

誰だって多少触ればそれなりに見られるようになる。だけどその本質は変わることは無い。
頭は良いけど性格が暗くて冴えない優等生の『浅井廉』
これが僕の本当の姿だ。

僕の容姿が変わったって僕自身が変わるわけではないのだと、香織ならきっとわかってくれるはずだ。


そうだろう?香織…。