「で、まず俺たちを呼んだ訳をお教え願いますか?総督」
俺はコーヒーカップをテーブルに置き、改めて総督と向き合った。
「ホントに君はせっかちだな。もう少し肩を下してみてはどうだ?」
総督は少しおどけたように言ってきたが、俺はそのまま総督を見据えた。
「はいはい、分かった分かった。もう少しティータイムをとろうと思ったんだけどね~。話せば長くなる。いいね?」
俺とジョエルはほぼ同時に首を縦に振った。それを確認し、総督の口がようやく動いた。



「実はね、君にある役割を果たしてもらおうと思ってね」
「ま、まさか本当に特攻を!?」
ジョエルが慌てて総督に攻め寄った。
「君もホントにせっかちだね。一先ず黙って私の話を聞きなさい」
そう言われ、渋々ジョエルは椅子に座りなおした。
「君たちが心配している特攻ではないことは確かだ。命に直接関わるような事ではないから安心してくれたまえ」
それを聞き、俺たちは胸を下した。

「私が総督になって早1年半が過ぎた。前代の総督である私の父親の跡を継いで自動的に総督になったのだが...。どうにも総督というのは私には不似合いでね。国外戦、国内戦、政治...私はこの類の事が大嫌いなのだよ。実際、今立っているこの【総督】という役割も嫌々やっているんだ」
そう言うと、総督は目を伏せた。
「失礼ですが、総督。戦争が嫌いなら何故やめさせる方針を立てないのでしょうか?あなたが総督になった後も、前総督同様戦えというような命令しか受けていないのですが...」
またせっかちと言われるかと思ったが、疑問は隠せない性分な俺だから即質問に移した。
「確かに。現総督である私が戦争をやめろと言えば、やめたかもしれない。しかし、戦争の根源を潰さないことにはまた何度でも戦争は起こってしまう。だから、私は内面から革命を起こそうと思ったのだ」
「革命?」
「私はこの1年半、いや、総督になる前から、その根源をなくす方法を考えあるものを作っていた。君にはその私が作ったものの管理をしてもらいたいのだ」