「はい、みんな席に着けー。今日はホームルーム前に転校生を紹介する」



入って来た担任の台詞に、クラスがざわついた。


やっぱり転校生というのは本当だったらしい。

うちは私立の学校だし、金さえ払えばこんな微妙な時期の転校でも融通がきくんだろう。


俺がそんなことを考えていると、安堂が見かけたという、例の美少女が教室に現れた。



「兎南司【となみつかさ】です。よろしく」


美少女はそう名乗って、静かに笑った。



「うわっ。マジで美少女…」


安堂がこっそりと呟いた。

でも、確かに、その意見には賛成だ。


華奢で小柄な身体に、日焼けとは無縁そうな白い肌。
色素の薄い髪は、ストレートで腰の辺りまである。


何より印象的なのはその瞳で、両目とも深い碧色をしていた。



「あー、兎南は両親の仕事の関係で長いこと海外で暮らしていたらしい。分からないことも多いだろうから、みんな、色々と教えてやってくれ」