「蒼ってば知らないの!?今話題になってる、若い女性ばかりを狙った殺人事件。あの犯人、ヴァンパイアじゃないかって噂で持ちきりだよ?」



その莉華の台詞で、さっき見た、テレビのニュースを思い出した。


若い女性が、体内の血を抜き取られていたっていうあの事件。


けど、その犯人がヴァンパイアって…。



「話が飛躍し過ぎじゃねぇ?馬鹿馬鹿しい。世の中に吸血鬼なんているわけないじゃん」



俺があっさりとそう言うと、莉華は手を腰に当てて力説し始めた。



「何でいないって言い切れるの?吸血鬼伝説は遥か昔から色んな国で伝えられてるじゃない。火のないところに煙は立たないって言うでしょ?人間が知らないだけで、世の中にはまだまだ不思議なことがたくさんあるのよ!」


「ま、そりゃあ信じるのは個人の勝手だけど?」


「いやーねー。急にリアリストになっちゃって。昔は幽霊見たって私に泣きついてたくせに」