「お前さぁ、取材するなら誰かに話し付けておくとか、普通準備とかしとくだろう?なんでファストフードでコーヒー飲まなきゃいけないわけ?」

「うるさいなぁ。本当、蒼って馬鹿だよねぇ」


心底憐れむようにそう言われて、俺は苛立ち紛れに冷めた100円コーヒーを飲みほした。 
昔から訳の分からない奴だったけど、莉華の行動は本当に謎だ。
いきなりこんな店に連れて来られて、しかもドリンクまで何故か俺が奢らされて。
ファストフード店と都市伝説の取材と。
一体何の関係ある?


「ここなら、色んな話を聞けるから?」

呟くような兎南のセリフに、莉華は嬉しそうに答えた。

「そう!その通り!!さっすが兎南さん!頭のいい人は違うよねぇ」

「あー、はいはい。頭の回転が遅くて悪ぅございました」


不貞腐れてそう答えて、けれど兎南の意見に思わず感心する。
なるほど。
ファストフードは中高生のたまり場だし、耳をすませれば、噂話くらいは聞けるかもしれない。
 
ま、莉華もただの考えなしじゃないってことか。