相変わらず、完璧なまでの美しさで微笑んでいる。
「え、なになに!?兎南さんってオカルトとか興味あるの?意外!!」
安堂が大袈裟な身振りでそう言うと、兎南は小さく首を傾げた。
「別にオカルトに興味があるっていうわけじゃないけど…。吸血鬼には興味ある、かな?」
「何で、吸血鬼に?」
俺は素直に尋ねた。
だって、吸血鬼なんて馬鹿馬鹿しい作り話に夢中になるのなんて、莉華くらいのものだと思っていた。
美人の兎南と吸血鬼なんて、不似合いもいいところだ。
「私、ずっとドイツに住んでたの。ドイツってヴァンパイア伝説が沢山残っていてね。だから、ちょっと気になるの。日本の吸血鬼がね」
「へぇ…」
「ねえ、さっきの取材に行くっていう話。あれ、本当?」
「あー、まぁ。行き掛かり上ね」
俺がそう答えると、兎南は少し考えてからにっこりと笑った。
「私も、それに参加してもいい?」