「・・・其れが、好い事とは限れへん」 「え?」 「美しき椿より、良き梔子の香りを好む御方は多いのよ」 「・・・お翅ちゃん?」 梔子は其の姿を見ずとも人々に愛される 「───私は、そういふ訳にはゆかぬから」