知らなかった僕の顔

振り向くと、森若ちゃんがぴょこりと背伸びをして立っていた。


ああもぉ…どうすれば?


困っているのは僕だけで、二人はニコニコして、なぜか頷き合っている。

僕は、仕方なく矢島さんに森若ちゃんを紹介した。


なんでアパートの住人に、自分の彼女を紹介しなきゃならないのかわけがわからないけど、僕は完全に流れに飲み込まれていた。


矢島さんが帰ると、森若ちゃんは僕にこう言った。


「あの人、ゲイじゃないんじゃないかな」

僕はもうどちらとも言えない気持ちで、ただ頷いていた。