知らなかった僕の顔

「そっかそっか。うん、ごめん、お邪魔しちゃって。お客さん来てるんでしょ?」
矢島さんは、玄関にある森若ちゃんの赤いエナメルのミュールを指差して言った。


んもぉ、僕らのことは、ほっといてよ…。


「はあ…まあ」

僕が曖昧に返事をしていると、矢島さんは僕の背後を見ながら頭を下げた。