知らなかった僕の顔

お昼休みが終わり、僕はまた暇な店内のレジの前に、ボケッとつっ立っていた。

確かに…明美さんには、色気がある。

同性には嫌われそうな、過剰なほどの色気だ。

まだ三十そこそこの若さで、百戦錬磨の風格を漂わせている。



阿部ちゃんが言ったように、僕はどうしても無意識に見てしまう男の本能で、大きくて魅惑的な明美さんのお尻を見ていたのかもしれない。


ていうか見るわな。
そりゃ見るよ。
仕方ないって。


僕は、優雅に歩く明美さんの腰つきを思い出していた。

あれは卑怯だよな。

時々僕にするあの流し目は、何かの合図だろうか?


そんなことを飽きずに延々と考えていられるほど、この店に客が来る気配は全くなかった。