知らなかった僕の顔

おにぎり三つを完食した阿部ちゃんは、細いメンソールの煙草に火をつけて言った。


「普段さー、ちゃんとまともにご飯食べてんの?」

「食べたり食べなかったり。一人暮らしだからどうしてもね」

「ダメだよ、食べなきゃ。宮田くんガリガリじゃん」

僕は、自分の腕をさすった。
ガリガリと言われてしまう男の気持ちは、かなり複雑なものがある。男なら誰しも、筋肉への憧れが少なからずあるのだ。


「私、料理うまいよ」

「そうなんだ」

「作りに行ってあげてもいいよ」