知らなかった僕の顔

昼休みは、タタミ三畳程の狭い休憩室で、阿部ちゃんと二人きりになる。


阿部ちゃんは、手作りの大きなおにぎり二つをうまそうに頬張り、僕はコンビニで買った菓子パン一つを細々と食べる。


「宮田くん、そんだけで足りるの?これ、いる?」
阿部ちゃんは、カバンから三つ目のおにぎりを取り出しながら言った。


「足りるから大丈夫だよ。ありがとう」
おにぎりは、母親の握ったものしか食えないという男がたまにいるが、僕はそのタイプだ。


「ケーキ屋で菓子パン食べるって、よほどの甘いもん好きって感じだね」
阿部ちゃんは、笑いながら三つ目の鮭のおにぎりを食べている。

僕は、よく食べる女の子を見ているのが好きだ。