知らなかった僕の顔

僕は、部屋の中を見回した。


彼女が使っていた物は、そこかしこにあった。


彼女が使っていた、かための歯ブラシ。

僕が知ってる限りでも、一日五回は歯磨きをしていた。


彼女の黒いニット帽。

これをかぶった彼女は、最高に格好良かった。


ベッドの脇には、脱ぎ捨てたままの青いタンクトップがあった。


手に取って鼻をうずめると、彼女の甘い汗の匂いがした。