知らなかった僕の顔

「これがいいな。いい?」


森若ちゃんは、にっこりと頷いた。


彼女が差し出す右手を僕は軽く握り、インディゴブルーのマニキュアを塗った。

思ったより難しい作業に、Tシャツを着た背中が汗をかく。


僕は、ハミ出す、ムラになるを繰り返しなんとか右手を塗り終えた。