カナは同じ東京に住む19歳の女子大生。
詩と漫画が好きな女の子。
でも彼女とはゲームの世界でしか会えない。
顔も声も知らないけど、僕は画面の向こうにいるカナに恋をしていた。
午後6時頃、カナモリと別れ、自宅へ向かった。
大学から約5分の場所にあり、大通りの路地を曲がると僕が暮らす木造アパートが見えた。
幾つかの部屋の電気がついており、どこかで嬌声が聞こえる。
金曜の夜、僕にも彼女がいたらどれだけ楽しいことか。
部屋に入ると窓を全開にし、ベッドに横たわった。
留守番電話には『お盆には戻ってきなさい』と母からの伝言が一件だけ。
ジーンズのポケットからゲーテの詩集を取りだし、郵便受けに入っていたチラシを手に持った。
左手に詩集、右手にピンクチラシ。
同じ空の下にいるけど、僕とチラシの表紙のお姉さんとは一生会うことも話すこともないのだろう。
ゲーテとお姉さんをそっと重ねてキスをさせた。
アンバランスな恋だなと思いながら。
キスの味。
どんな味だったか、僕はもう3年もしていない。
詩と漫画が好きな女の子。
でも彼女とはゲームの世界でしか会えない。
顔も声も知らないけど、僕は画面の向こうにいるカナに恋をしていた。
午後6時頃、カナモリと別れ、自宅へ向かった。
大学から約5分の場所にあり、大通りの路地を曲がると僕が暮らす木造アパートが見えた。
幾つかの部屋の電気がついており、どこかで嬌声が聞こえる。
金曜の夜、僕にも彼女がいたらどれだけ楽しいことか。
部屋に入ると窓を全開にし、ベッドに横たわった。
留守番電話には『お盆には戻ってきなさい』と母からの伝言が一件だけ。
ジーンズのポケットからゲーテの詩集を取りだし、郵便受けに入っていたチラシを手に持った。
左手に詩集、右手にピンクチラシ。
同じ空の下にいるけど、僕とチラシの表紙のお姉さんとは一生会うことも話すこともないのだろう。
ゲーテとお姉さんをそっと重ねてキスをさせた。
アンバランスな恋だなと思いながら。
キスの味。
どんな味だったか、僕はもう3年もしていない。
