西の方に天辺が鷲のような形の塔状積雲が渦巻いていた。
高校時代、窓際の席から外を眺めるのが好きだった。
退屈な授業、冷たい廊下、校庭の歪んだ白線。
空の向こうの世界へ、早くこんな田舎町からは飛びだしたかった。
だけど、上京して2年。
僕はあの頃と何も変ってはいない。
ただ漠然と生きている感じ。
やがて煙草を吸い終わる頃に、サングラスをかけた長身のカナモリがやってきた。
芝居を見終えて僕らは居酒屋で飲んだ。
ビールに軽いつまみを頼むと、
「合コン、決まったから。なんとか、がんばれよ」
カナモリが言った。
2VS2の合コン。相手はカナモリと同じバイト先の大学生。彼女いない歴19年の僕のためにセッテングしてくれたのだ。
合コンはありがたい話だけど、あまり乗り気ではなかった。
なぜならカナが好きだから。
カナモリにはどこか気恥ずかしくてカナのことは喋ってない。
ステディな彼女もいるカナモリに話せば、きっとバカにされると思う。
ゲームの世界にいる彼女に恋をしているなんて。
高校時代、窓際の席から外を眺めるのが好きだった。
退屈な授業、冷たい廊下、校庭の歪んだ白線。
空の向こうの世界へ、早くこんな田舎町からは飛びだしたかった。
だけど、上京して2年。
僕はあの頃と何も変ってはいない。
ただ漠然と生きている感じ。
やがて煙草を吸い終わる頃に、サングラスをかけた長身のカナモリがやってきた。
芝居を見終えて僕らは居酒屋で飲んだ。
ビールに軽いつまみを頼むと、
「合コン、決まったから。なんとか、がんばれよ」
カナモリが言った。
2VS2の合コン。相手はカナモリと同じバイト先の大学生。彼女いない歴19年の僕のためにセッテングしてくれたのだ。
合コンはありがたい話だけど、あまり乗り気ではなかった。
なぜならカナが好きだから。
カナモリにはどこか気恥ずかしくてカナのことは喋ってない。
ステディな彼女もいるカナモリに話せば、きっとバカにされると思う。
ゲームの世界にいる彼女に恋をしているなんて。
