紡歌<ツムギウタ>


「あれ? ソラ、ツキ、ちゃんとバイバイしたか?」


ソウマが二匹を交互に見つめ、眉を上げながら尋ねた。


「そんなの必要ないわ」


ソウマの問いにソラが素っ気なく答えた。


「また会えるもんね!!」


ソラに続き、ツキがにこやかに答える。


しかし、ソウマは急に真剣な顔をして二匹を見つめた。


「だめ。ちゃんと挨拶しな」


ソウマは肩に乗ろうとしていたソラを抱きかかえ、ツキのもとへ連れて行った。


「"今度また会える"なんて確証、どこにもないだろ?お前らは、まだ生きてんだから。ちゃんと一瞬一瞬を大事にしな」


ツキとソラは、ソウマの説得にしぶしぶ互いの肉球を合わせ、タッチした。……どうやら、これが使いにとっての挨拶らしい。


ソウマはその二匹の挨拶を満足げに見ていたが、次の瞬間ソウマの顔に陰りが見えた。


「……死神も同じだけどな。次、また会えるとは限らない」


ソウマは意味深な目をキズナに向けながら呟いた。その瞳の中に一瞬悲しげな光が宿ったが、ソウマはすぐに目をそらしてしまった。


肩にソラが乗ったのを確認したソウマは、キズナの手をとって握手した。そして、いつもの満面の笑みを見せると、手を離して陽気に声を張り上げた。


「じゃあ、俺たち行くわ! きっと、またいつか……会おうな!」


「待って!!」


去ろうとするソウマの背中に向かってキズナが叫んだ。その声に、ソウマが不思議そうにキズナの方を振り返る。


「あんたは、もう……天に還れないの?」


「……あぁ。神の慈悲を受けられるチャンスは一度きりだからな。それを放棄した俺は永久に天に還れない。だからこそ、後悔のない選択をしろよ?」


ソウマはそう言い残し、手を振りながら行ってしまった。




……ソウマの笑顔が、いつもと違い、引きつっていたように感じた。


ソウマはこうやって、次々と天に還っていく仲間を見送ってきたんだろうか。


500年もの長い間、あんなに悲しそうな笑顔で……。