バレリーが12歳で
アカデミーを卒業したのは
ひとえに貧乏だったからに過ぎない。



なんとか父がアカデミーに入れてくれたものの
飛び級でもしなきゃとてもじゃないが
月謝が払えないと分かっていたからだ。


「--専攻は?」


「経済。お前の得意分野だろ」



「だからって簡単に出来るわけじゃないよ。
だいたいやるのはヴィンスだろ。
これからみっちりやろうね」



「うぇっ?!
これから?
食べたばっかで眠い感じなんだけどなー……」



「ん? 何?
誰が眠いって……?」



レナンドの笑み並みに怖い微笑みを称えたバレリーに
ヴィンセントは何でもありません、と素直に応じるのであった。