彼女の気遣いから、病室は優しい空気に包まれた。 本田先輩は、ゆっくり話し始めた。 「エリ、心配をかけてすまなかった。 吹奏楽部の時に使った楽譜を探しに、 高校の音楽室へ行ったんだ。」 以前の、別れ話の時よりも、 先輩の口調は、とても穏やかだった。