あと少し。
あと少しだ!


私は、目に光を見せて最後の力を振り絞った。



『逃がさないよ』



突然、私の耳元で《あいつ》の声がした。
私は、反射的に横を向く。

《あいつ》は、私の横を並走していた。

さっきまで、遥か後ろにいた《あいつ》が。


私の中に、言い知れぬ恐怖が弾ける。


『いやっ……!!』


私が小さく叫ぶと、《あいつ》はニッコリと笑った。


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