回る。回る。回る。
世界がぐるぐる回る。


私は胸の激痛を抑えて、必死にこの長い廊下を走った。


窓の外は時間を失ったように、闇夜が広がっている。

たまに、星が瞬いてそこを照らした。


――これが夢ならどれだけいいことだろう。


涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら振り返ると、《あいつ》は息切れすることもなく、こちらに向かって来ていた。



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