「多分押収品とか特殊部隊やらが使ってるもんだろ。他にも色々あったけど邪魔になるし、必要最低限に留めた」


隼人がペットボトルのキャップを開けながら話した。しかし、首を傾げている蒼依に気付き、さらに説明を付け足す。


「Separate Worldの造りは、現実世界とリンクしてる。現実世界に存在しているものが、Separate Worldにもそのまま同じ場所に存在してるんだよ」


隼人は茶を一口飲むと、広げられている武器の中から拳銃一丁を拾い上げ、蒼依の方に投げてよこした。


「……なに?」


自分の膝元に転がる拳銃に目をやりながら、蒼依が問い掛けた。


「護身用に持っとけよ」


「や、やだ!こんな物騒なもの必要ないじゃん!」


「あんた、この世界がどんなところか分かってる?」


隼人が真顔のまま言葉を続ける。


「ここには親から見捨てられた問題児が集まってんだよ。どんな危険な奴がいるかわからない。最悪を考えると最低限の武器は必要だろ」


「そんな事言ったって……こんなの使い方わかんないよ」


「わからないなら練習しろ。言ったはずだよな?一緒に来たかったら足手まといになるなって」


隼人が威圧するような鋭い目で睨みながら言った。恐々と拳銃を見つめる蒼依をよそに、隼人は自身の腕時計を確認する。


「もう日が変わるな」


隼人は独り言の様に呟くとゆっくり立ち上がり、武器の入った鞄とペットボトルを持って部屋の出口へと足を踏み出した。


「どこ行くの?」


一人置いていかれるのでは……という不安を抱いた蒼依が問い掛けた。隼人は眉間にしわを寄せ、ウザったそうに振り返る。


「いちいちうるせぇな。自分の部屋だよ。もう寝る」


「私も一緒に寝る!」


蒼依の発言に、ペットボトルの茶を口に含もうとしていた隼人が吹き出した。


「ばか言うな!お前には女っていう自覚はねぇのか!」


むせ込みながら言う隼人に、蒼依が不安げな目を向けながら言い返す。


「だって、絶対置いていくでしょ? 起きたら誰もいないなんて嫌だもん」


「うっざ」


隼人は腕組みをしながら吐き捨てるように呟いた。