『理性』が『衝動』を抑え切れなくなる。

いや、『抑えたくなくなった』というのが正解か。

つまりルドルフが私に対して行使したのはそういう魔法。

精神に干渉し、理性を消し飛ばす魔法。

理性の箍のなくなった人間なんて、ただの知恵ある獣。

高い知能を持つ分、獣より厄介だ。

特に私なんて。

「…押し潰してあげる」

グラヴィティコントローラーの数値を一気に引き上げ、殺人的なまでの重力をルドルフに叩きつける!

「ぬぅっ!」

戦闘機が無茶な急加速をしたって、これほどのGはかからない。

そんなレベルの重力がルドルフにのしかかる!

彼の大きな翼を以ってしてもその重みには耐えられず、揚力を失った彼は国際科学研究所の屋根を突き抜けて建物内へと叩きつけられた!