「八王子君!」

所長が私に向かって叫ぶ。

「緊急警報装置を作動させた。10分以内に軍からの救援が到着する筈だ」

この研究所で開発しているものは、使い方次第で危険な兵器にもなりかねない物が多い。

その為、警報装置の作動は軍や警察への救援要請と連動しているのだ。

「10分だ。それまで何とか持ち堪えてくれ」

所長の言葉に私は頷く。

「私が彼を引き付けます。所長達は緊急隔壁で施設を閉鎖して、すぐに脱出を」

私と違って所長達は生身だ。

とてもルドルフの相手など務まらない。

ここは、身体強化服を装着している私がルドルフを足止めしないと。

密かにそんな決意をする私に。

「嘗められたものだな」

右の手刀に顕現させた光の刃を一振りして、ルドルフは一歩歩み出た。