Wissenschaft vs. die Magie

ルドルフが何を言っているのかわかりかねる。

喚び出した代償?

何それ?

そう訊き返す暇もなく。

「っ!」

鼻を刺す異臭がラボ内に充満した。

この臭い…プラスチックが溶ける臭いに似ている。

「以前にこの旧世界に来たのは数百年前だったかな…その時は正規の魔方陣を使用しての召喚だった」

強化アクリル製ケージに触れたまま、ルドルフが淡々とした口調で語る。

「あの時は、数万の軍勢相手に一人で戦を挑まされた。小国なら小国らしく、大国の軍門に下ればいいものを、身の程知らずに戦を仕掛けた挙句、その尻拭いを俺にやらせ、あまつさえ用が済めばさっさと強制送還…全く、旧世界の人間のやり口には反吐が出る」

語り口は尚も穏やか。

しかしその言葉とは裏腹に、強化アクリル製ケージはグニャリとひしゃげていく。

まるで熱を通された飴細工のように。

嘘でしょ…あのケージは、理論上はティラノサウルス・レックスが暴れたって破壊する事はできないというのに!

「喚び出しておいてとっとと帰れとは、通らぬ話だろう」

ルドルフの口端がつり上がる。

「『以前の召喚』の代価、お前達に払ってもらうとするか」