Wissenschaft vs. die Magie

正直、これは申し訳ない理由だ。

強引に遠路はるばる新世界とやらから私達の世界に喚びつけておいて、用はないと告げられるのは、たとえば私が地球の裏側まで呼び出されておいて、到着早々「もう帰っていいよ」と言われるのにきっと似ている。

気を悪くして当然の話だ。

なのに。

「そうか。特に用件は無いのか」

ルドルフは安堵の息さえ漏らした。

「いや何、俺のような存在を召喚したからには、大戦の手助けをしろだの、軍勢を蹴散らせだのという物騒な仕事を仰せ付かるのではないかと思ってな。少々肝を冷やしていた」

クールな表情、威圧的な雰囲気に似合わず、ルドルフはそんな気弱な事を言う。

何だ…随分と害意のない召喚物もいたものだ。

時空転移装置の実験に成功した後、召喚物をどうやってなだめすかしてお引取り願うか。

実はそれも懸念材料の一つだったのだけれど、ルドルフのような温厚な人物なら、それも杞憂という奴のようだ。

ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間。

「それでは気兼ねなく」

ルドルフは強化アクリル製ケージに触れた。

「喚び出した代償を払ってもらうとしよう」