Wissenschaft vs. die Magie

「ちょっと!」

足の速いルドルフの背中にやっと追いついて、私はキツイ口調で声をかける。

そんな私に。

「召喚や時空転移は特に指定しなければ、その者に縁ある者や場所に喚び出されるものなのだ」

訊かれてもいないのにルドルフが話し出す。

「俺がお前の住む旧世界に召喚されたのも、この世界に辿り着いたのも、恐らくはその『縁』ゆえ…なのだろうな」

そっか…召喚ってそういうものなのね。

私はひたすらに歩くルドルフの背中を追う。

「あれでよかったの?ルドルフ…あんたがちゃんと兄である事を名乗れば…」

「名乗って何になる?」

馬鹿な事を言うなとばかりに。

彼は笑い出しそうな声で言った。

「アイツはアイツで、既にこの世界で己という存在を確立して生きている。今更ノコノコ荒んだ生き方をしている兄が出て行ったところで何になる」

足早に歩いていたルドルフの足が、ふと立ち止まった。

「アイツがこの美しき世界で幸福ならば、俺に何も語るべき事はない。無事に生きていてくれたのだ…これ以上望む事など、俺には何もない…」