「行きなさい、ハルちゃん!!何も心配することないのよっ! チャンスじゃなーい! やっと琴子ちゃんと結ばれるチャンスじゃなぁーい! 家のことは任せてねっ。 お金だって心配しなくていいのよ!! 琴子ちゃんもひとりじゃ心細いだろうし、ねっっ」 「……」 がしゃーん。 終わった。 母さんが何をどう勘違いしているかは知らないが、別に琴子に恋愛感情はない。 でもスイッチが入った母親を止める術はない。知っている。 おれは観念して両手をあげるしかないのだ。