「とりあえずメガネは外に出ないと買えないよ」
「そこなんだよ。ここ規則厳しいじゃん?
寮長も厳しそうだったし」
……寮長。
三つ編みに知的メガネ、安定した敬語。
あれこそ優等生の象徴。
「……でもまぁ、裏門から出れば大丈夫じゃないかなぁって思うよ。
一緒に行こっ!」
「さすが琴子!マジ助かるっ」
おれは礼を言ってから
琴子がしゅたっ!と窓から飛び出るのに続き……ええぇ!?
「なんで窓から出るんだよ!?」
「こっちの方が楽しいよ多分きっと」
琴子は窓の下についてるレンガに
かろうじて乗っている。
「ダメだ、戻ってきなさいッ。
2階とかならまだしも、ここは5階なんだぞっ」
そもそも楽しさなんか優先させるんじゃありません!


