メガネっ!?
ようやく視界がクリアなことに気付いたおれは、急いでメガネを直す。
……直したら何も見えないけど。
“特別研究生”のイメージは
さすがに保っておきたい。
「伊達なんだぁ」
!?
という反応は顔に出さないで、
至って冷静におれは言った。…つもり。
「これはその…、度があってないだけで…」
「この際コンタクトにすれば?」
「あ、いや、遠慮しときます。経済的に厳しいんで」
…経済面で困っていることは
ひとつもないが。
そもそも視力は悪くないし、
コンタクトになんかしたら
“特別研究生”のイメージから
一気に外れる。
何一ついいことなんてない。


