「ねぇねぇ、前の方から歩いて来る中学生3人組の真ん中…こ、怖くない?」


ちょっと震えた声で私に囁いているのは、高校に入学してすぐに仲良くなった親友の、田中美咲。


「ワッ! ほ、本当! 知らん顔知らん顔!」



咄嗟に目を宙に浮かせ…って、返って目立つって! キョドってるし!私何してんだ!



ーーーと、自分にツッコミを入れる。


私、名前は北原真菜。



「真菜、ここは二人で話しに夢中なふりして喋りながらやり過ごそう」



と、美咲が提案する。



「OK」



「…でさ、真菜、こっちの本屋の方が書籍揃ってるって、本当?」



「エッ!?う、うん!そ、そりゃあもう、ちゃ、ちゃんとしたルートからの話しだから!」



「…て、何?ルートって?」



なんかテンパっている私に、ツッコまないでくれ美咲!



前から歩いて来る中学生3人組。


その中の真ん中にいる子…
明らかに他の二人と同じ中学(だって制服一緒だし)のくせに、一人ニョキっと背が高く、制服のワイシャツの前ボタン3つつらいはずしてて、
髪もちょっと茶色に染めてて、ダルそうに歩いてる。



両側にいる中学生とは、全く雰囲気違うし‥なんか、どーゆー関係かわかんないけど…



ひょっとして二人は真ん中のヤツの下僕かい?



そんな3人組とすれ違う寸前‥



゛しまった!つ、つい見てしまった!そ、それもジーっと″



と、思った瞬間!



私は腕を掴まれていた。


「オイ!」



「ひ、ひぇ~!ご、ご勘弁を~」



私は瞬時に美咲の手を掴み、必死で掴まれた腕を振り払おうと、勢いよく走り出し、近くの書店の中に逃げ込んだ。



「あーびっくりしたあー」



私は、荒い息を整えながらそう言った。



「私の方こそ、真菜が急に全速力で走り出すから」



「だっ、だって、腕を掴まれたんだよ!逃げるっきやないでしょ!!」



「まあーそうだね、あー本当にびっくりしたね」


私たちは落ち着いたところで、本日の目的である買いたい本を二人でそそくさと購入した。



ここの書店は他と違い、数日早く新刊が入荷するため私たちはよく、学校と家との丁度中間地点にある、この書店を利用していた。