向こう。

俺の考えなど知りもしない舞瀬は、ニコニコしながら部屋に入って来た。

「どう?調子の方は。」

「昨日よりは、だいぶ楽。」

薬を飲んで、たっぷり寝たおかげか、俺の風邪はかなり良くなっていた。

「良かった。
じゃあ今日は何をして欲しい?」

「舞瀬、今日は学校に行け。」

「何でだよ?」

舞瀬は本当に学校に行く気が無いようだ。
その証拠に制服ではなく、完全な私服だ。
でもそれでは困る。

「勉強に支障が出る。」

俺の看病なんかで学校を休ませて、授業に影響が出たら、迷惑が掛かってしまう。