「バスケ部員は、優しいな…」

自分達の敵だった者も許してしまうなんて、本当に寛大な心がないと出来ないだろう。

「あいつらは本当に凄いよ。
その後、部活の結束がもっと強くなって。
消えた主戦力をみんなでカバーして、大会全国準優勝だぜ?
今まで地区優勝がやっとだったのに。」

「本当に、凄い…」

舞瀬は本当に嬉しそうに、話しをしていた。
しかしその微笑みが一瞬陰ったのを、俺は見逃さなかった。

「まあ、あの事件が省略されすぎて、なんかあれから怖がられるようになっちまったけどな。
こんだけ広まったら、もう修正は無理だろうし、しょうがねぇよな。」

舞瀬は悲しそうな顔をすぐに笑顔に変えて、冗談っぽく言った。
しかし俺はその姿に胸を締め付けられた。