向こう。

それを聞いて怒ったのか、本田は男のどこかを叩いて走り去った。

「…いってー……」

俺はもう良いか、と思い木の陰から出た。
当然、空き地には男が立っていた。
男の頬には赤い跡が残っている。

「…さっきの、聞いてたのか?」

「……不愉快なら謝る。」

「良いよ、別に。」

俺は芝生にねっころがり、寝る体勢を取った。

「春高凪…だよな。」

隣に座って、顔を覗き込まれる。