向こう。

「よ…っと。本当だ。」

全て中森が教えてくれたものだ。
やはり使われていないだけあってかなり埃っぽいが、体育館内に面している窓は小さくてカーテンもある。

「練習を見るのには絶好の場所だな。」

俺は持って来たバッグの中からデジカメを取り出した。
そして動画撮影モードにして、窓から撮影を始める。

ゴム底の靴が床に擦れる音が、絶え間無く響いている。
今の所は、特に何もなさそうだ、と思った瞬間。

「あ…っ」