向こう。

「あ、ちなみにあき自身にそーゆー趣味は無いからね!?
ちゃんと彼氏もいるんだからっ。」

「え、何?
それ初耳だぞ!?」

舞瀬の驚きに、藍姫は目を丸くした。

「あれ、知らなかった?
そっか、まだ言ってないんだ、坂野君。」

「さ、かの…?」

「うん。
若斗と友達の坂野君。
あき達付き合ってんだよー。」

「マジかよ…」

舞瀬は驚き過ぎて愕然としている。
確かに自分の妹と親友が恋人同士だったら誰でも驚くだろう。

「まあ、その話はまたするよ。
それよか早く入って。
玄関で立ち話も何でしょ?」

そういえば俺達は靴も脱がずにずっと話し込んでいた。
舞瀬ははっと俺を振り返り、謝ってきた。

「あ、ああ、そうだな。
ごめんな、立ちっぱなしにさせて。」

「いや、大丈夫。」

俺は舞瀬に連れられ、中へと入った。