向こう。

「どうした?
早く脱がないと風邪ひくぞ。」

「あ、ああ。
そうだな…」

あれ…?
いつもなら人の観察なんてしないのに。
まあ、いい。
とにかく早く着替えないと。

俺はYシャツのボタンに手を掛けた。
外そうとは思うのだが、シャツが濡れて固くなっているのと、指先がかじかんでいて、上手く外れない。
そうやって悪戦苦闘していると、舞瀬が声を掛けて来た。

「外れないのか?
…貸してみ。」

舞瀬はシャツに手を掛けると、いとも簡単にボタンを全部外した。

「ご、ごめん…」

非力な自分が凄く情けない。

「いや。
それより、凪って細いのな。
制服着てても何となく分かるけど。
肌、真っ白だし。」

さっき考えていた事を言われた。