向こう。

「それはいいとしてさ…」

「何だ?」

微笑を浮かべる舞瀬を覗く。

「俺は嬉しいんだけどさ、手繋いでるの。」

「えっ!?」

自分の手を見ると、そこには舞瀬の大きな手が握られていた。
それに気付き、すぐに手を放した。

「わ、悪い…」

「謝らなくていいのに。
俺は嬉しい位なんだから。」

舞瀬はくすくすと声を出して笑っていた。
俺はそれを見て顔が少し熱くなった気がした。