向こう。

「ま、いせ…?」

ぼやけた視界でも分かる。
無意識に求めた、あの人。

「凪!」

舞瀬は息を切らしながら、俺を呼んだ。
そして俺の所へ一直線に走って…

「おーっと。
邪魔されたら困るねぇ…」

副部長が舞瀬の前に立ちはだかり、それを阻止する。
舞瀬は低く、力の篭った声で言う。

「退け。」

そしてその声と同時に、副部長の腹に蹴りを入れる。